2006年10月05日 Thu

スーツ姿の祈祷師【日記】

スーツを着ると、たいてい雨が降る。


それまで快晴の日が続いていたとしても、僕がスーツを着て外に出ると途端にどんよりお天気だ。大学入学後、おそらく10回ほどスーツを着たのだけれど、そういうとき青空の下で気持ちよく歩いた記憶がまるでない。昨日も家庭教師の登録会にスーツを着ていったのだが当然のごとく雨がヘッダー。いや、降った。


スーツを着れば、雨が降る。これは、ここまで来るともう、偶然やジンクスなんてものを超えて、はっきりとした因果関係があるようにさえ思えてくる。僕が無意識のうちに、スーツを着たときだけ雨を降らせているんじゃないか、ということである。


そうだとすれば、嘆いてばかりはいられない。これを積極的に利用しない手はない。日照りや水不足に悩む地域に出かけていって、そこでスーツを着用すればたちまち雨が降り村人や長老はよろこんで莫大な謝礼を僕に支払い村の女たちはメガネにスーツの僕に惚れちまってキスの雨まで降らせちゃう、ってなもんである。


実に半年ぶりの雨に狂喜乱舞するスカパラダイス村の住民たち。次の週の収穫祭では村を救ったヒーローとして僕を盛大に迎えてくれる。村の中心の広場では木材でステージが組まれ、そこで民族衣装に着飾った若い衆がその土地に古来から伝わる喜びの音楽を演奏する。男も女も、大人も子どもも年寄りも、村中の人間たちが炎を囲んで狂ったように踊る。食べきれないほどのごちそうも用意されている。


長老宅に待機していた僕は、村の青年オクダタミーオに「用意ができました」と一声呼ばれ、さっそうとドアを開けて外に出る。その刹那、雷鳴轟き豪雨が滝のように村を覆い、広場のステージやごちそうはもとより、すべての村人と家屋が押し流されてしまった。あとに残されたのはアルマーニに身を包んだ青年だけじゃったそうな。


という昔話はどうでもよく、家庭教師の登録会にスーツ姿で行ったのは僕ひとりだった。「なんでわざわざスーツで」という視線を浴びせられ、僕の心は曇り空。ついでにボールペンを忘れて雨模様。


だれか、僕に心の傘をください。
posted by グレエ at 22:09 | Comment(6) | TrackBack(0) | edit


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