2006年07月09日 Sun

冷蔵庫の悪夢【日記】

おなじ過ちを二度繰り返してはならない。


仕事でもなんでも、おなじミスを繰り返すというのは激しく非難の対象になる。それは、一度目の失敗から教訓を学んでいない、ということを意味するからです。仕事でおなじミスをしたら、一度目のときは寛大であった上司でもその人を叱るでしょうし、人生においておなじミスをしたら、周囲の人からは呆れられたり見放されることもあるでしょう。もっとはっきり言うと、おなじ過ちを繰り返すということは、その人の無能さを露呈することに他なりません。



先日のこと、僕は恐る恐る冷蔵庫を開けようとしていました。部屋の片隅に不気味なオーラを発しながらたたずむ一人暮らし用の小さな冷蔵庫。正直、できることなら開けたくありませんでした。できることなら永遠に放置しておきたかった。なぜなら、そこには10日以上放置した麻婆豆腐があるから。しかし、放置すればするほど状況が悪化するのは目に見えていますから、その禁断の扉を開けてみました。


すると、鍋に入った麻婆豆腐の上に、所狭しとカビが群生している。いやまあ、そりゃ10日も放っておいたらいくら冷蔵庫の中といえどもカビるわな。久しぶりに見た立派なカビにやや感動しつつ、もはや麻婆豆腐ではなくなった麻婆豆腐を捨てました。


でまあ、ここまでは予想通りで別になんてことない日常なんですが、別の問題が発生したのです。なんかね、冷蔵庫のなかの冷却板に、大量の氷が付着しているの。軽く見積もっても500ml分くらいの水分が氷となって付着している。その立派な氷を見て、1年ほど前の悪夢のような記憶が蘇って参りました。



あれも確か、夏でした。一人暮らしをはじめて最初の夏、部屋には備え付けの小さな冷蔵庫がありました。で、その時もやはり、冷蔵庫の冷却板に大量の氷が付着しているのに気づいたのですよ。少量なら放っておいてもいいのだけれど、この時の氷の大きさは冷蔵庫の4分の1ほどを占めていた。なので、僕は早速その氷を取り除く作業にかかりました。


しかしこの作業がもう、想像以上に困難を極めた。中島みゆきの『地上の星』がバックで流れてもなんら不自然ではなく、むしろ世のお父さんたちの涙を誘うくらいのものだった。


まず冷蔵庫の電源をオフにし、作業の邪魔になる冷蔵庫の中身をすべて外に出します。ここで僕と氷とが一対一で対峙し、勝負開始。当たり前ですが、素手ではがせるようなやわな代物ではございませんので、プラスドライバーと木製のハンマーを用意しました。


まずドライバーを氷に当て、ドライバーのグリップを上からハンマーで叩く、叩く、叩く。見た目だけで言えば一端の氷像職人だったと思う。イメージとしては、その調子で氷をガシガシと削っていってすべてを除去し、ラストは中島みゆきの『ヘッドライト、テールライト』で感動のエンディングとなるはずだったのですが、そうはいかなかった。


いやね、削れることは削れるんですが、ドライバーではほんとに少量ずつしか削れないの。一回叩いて取れる量が小指の先くらいですから、そんな調子でいったら何時間かかるか分からない。なので、僕はここで作戦を変更し、ドライバーの代わりに使わなくなった包丁を取り出しました。


ええ、もうちまちまと削るのはやめです。包丁を冷却板と氷のあいだに入れて、一気にひっぺがそうという荒技にチャレンジすることにしました。それで今度はハンマーで包丁のグリップを叩き少しずつ氷と板のあいだに入ってゆきます。いいぞ、いけ包丁。


ガンガンガン。ハンマーで包丁を叩く音が部屋にこだまする。なんか、冷蔵庫に包丁を突っ込んでハンマーで一心不乱に叩いている姿は、客観的にみるとなかなかシュールな光景なんですがそれは置いといて、とにかく叩いて包丁を突き刺してゆく。ガンガンガン、プシューーーー。おや?


これは明らかに何か気体が吹き出ている音。というか、よく見ると氷のあいだから気体が漏れているのが見える。というか、ものすごく臭いの。どうやら包丁の先で冷却板を突き刺して穴を空けてしまい、そこからガスが放出されているらしい。いや、こんな薄っぺらい板にガスが流れているなんて聞いてない。ここでふと、冷蔵庫の中に張ってあった注意書きに目がいきました。


「お願い:冷却器についた霜や凍り付いた容器を、キリや刃物などを使ってとりますと、冷却器に穴があき故障の原因となります。(この故障は、修理できません。)」


おいおい、もっと早く言ってくれよ National さんよー。思いっきり包丁突き立てちまったじゃねーか。


で、National をうらんでいる間にもガスの方はどんどん噴出してきまして、臭いわ頭がクラクラするわでちょっとしたバイオテロみたいになってきました。仕方なく冷蔵庫はベランダに出し、後日廃棄処分となったのです。



あれから1年、管理人にもらった新しい冷蔵庫の氷と、またしても格闘することになろうとは‥‥‥。宿命のようなものさえ感じます。


しかし僕はもうあの頃の僕ではありません。同じ過ちは二度と繰り返さない自信がある。ノーモアヒロシマ。今度は包丁ではなくバターやマーガリンを塗るためのナイフを手に取りました。ナイフといっても、これは包丁と違い刃になっていないので、今度は冷却板に穴をあける心配はありません。また、今度はハンマーも持ちませんでした。


まずは去年とおなじように冷蔵庫のスイッチを切り、中身をすべて取り出します。そして取り出したのがドライヤー。こいつで冷蔵庫内に熱風を送り込み、薄い氷を一網打尽に溶かします。そしてバターナイフを板と氷のあいだに当て、ぐっと押す。万力のような力を込めて押す。するとぐいぐいと氷の中に入ってゆきます。ある程度入ってきたら、今度は左右にぐりぐりする。最後に、一気に下に押して氷を冷却板からひっぺがす!

「イツマデモ冷却板ニヘバリ付イテンジャアネェェーーーッ!コラァァァーーッ!」


冷蔵庫の氷.jpg



ぎゃあー!コードにぶら下がってる!


氷を取るつもりが、冷蔵庫のパーツまで取れてしまった。壊しちゃったのか? という不安が胸一杯に広がってゆきます。おいおいどうするよこれ。また管理人に言わなきゃならんのかな。せっかく新しいのもらったのに、それをまた破壊するってどんなバカなんだ僕は? 下手したらこの部屋追い出されるんじゃないか? いっそのこと、残りの9ヶ月、冷蔵庫なしで過ごしたろか。


などとあらぬことを考えていたのですが、そのパーツというのはどうやら外れてもさして問題のないものだったようで、そのまま使っております。危ない危ない。


それにしても、冷蔵庫ってのは厄介なものです。これほどまで僕を苦しめるとは。しかしまあ、氷はすべて除去できたわけし、しばらくは何もなく平穏な日々を過ごせるでしょう。



そう思っていたのも束の間、次の日の朝、冷蔵庫から牛乳を取り出して飲もうとしたら、妙に牛乳が暖かいのな。っていうか、どう考えても常温だった。うん、氷取り終わった後、スイッチ入れ忘れていたみたいで、冷蔵庫の中身が全滅しておりました。前日、氷を取り終わったあとにまた懲りずに麻婆豆腐をつくったのですが、それも全滅。同じ過ちを繰り返してしまった。
posted by グレエ at 21:07 | Comment(5) | TrackBack(0) | edit


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この記事へのコメント
僕も引越し前に氷取りやりましたよ
あれは難しいですよね
アイスバーンがなぜ、僕の冷蔵庫に??
って言うくらいへばりついてて取れないですもん

僕の場合
4年分の氷が溜まってたわけで…

包丁を僕も使いましたねw
さすがに冷蔵庫をぶち壊すことはしませんでしたけど

結局、冷蔵庫を横に倒して
お湯を流し込みましたねwww

Posted by ばんぶ at 2006年07月09日 23:10
雑巾を鍋で煮て
手にミトンをはめ
押し当てる。

長い時間をかけた氷山のようにガチガチに固まってるんで、
って、ドライヤー使ったんですか。そっちの方が賢いかな。
Posted by sizmal at 2006年07月10日 00:09
自分も引越し前に見ましたけど、完全放置で消えていきました♪
冷蔵庫って横向けたら壊れるんじゃなかったです?
最近のは大丈夫なんかな〜〜??
Posted by 宗介 at 2006年07月10日 00:12
いいですね、ノーモアヒロシマ。カップヌードルのCMでしたっけ?
Posted by なも〜 at 2006年07月10日 03:23
>ばんぶさん
お湯‥‥‥それができれば一発なんですがね、さすがにそれはできませんでした。あの氷ってなんであんなに頑丈なんでしょうね。

>sizmalさん
ただドライヤーは薄い部分を溶かすのに役立つだけで、氷本体はやはりひっぺがす必要があります。マニュアル的な氷のはがし方はないのかな?

>宗介さん
もう中身が必要ないなら完全放置でもいいですよね。その日も次の日も使い続けないといけないので考えものです。

>なも〜さん
なんでしょう、原爆の悲劇を繰り返さないようにというスローガンというかキャッチコピーですね。冷蔵庫の悲劇は繰り返してしまいました。
Posted by グレエ at 2006年07月10日 16:42
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