2006年07月14日 Fri

ふたり勉強会【日記】

「あさって授業が終わったあと、いっしょに勉強しない?」


さて、最近の僕は彼女が欲しいとかなんとかうわ言のように繰り返しているのですが、正確に言うと、別に恋人としてではなく、とにかく女の子と遊んだりしたいというのが僕の本音なのです。そんな衝動に突き動かされた僕が塩田さんに送信したメール、その内容が上記のもの。


塩田さんというのはサークルの女友達です。彼女は留学や旅行で世界中を駆け巡っているという、まるでバイタリティにニョキニョキと足が生えたような人で、去年からサークルでは親しくしていました。それで、今学期は木曜日の授業を僕と彼女がいっしょに受講しているので、授業後にふたりで勉強をしようと誘ったというわけです。返信されてきたのがこのメール。

「うん!やろうやろうp(^ ^)q」

きたこれ
いやもう、ガッツポーズを決めて叫びたいくらいの気分でした。


そうして迎えた木曜日、つまりきのう。5限の授業が終了すると同時に、友人同士で座っていた彼女のもとへ。他の友人たち3人から塩田さんをかっさらうようにしてふたりで教室を出ました。

「どこでやろうか?」
「図書館にする?」
「いや、図書館はちょっと」

うん、図書館はだめなんですよ。だって自由におしゃべりできなかったら楽しみは半減するじゃないですか? はっきり言ってしゃべるのが目的じゃないですか? もう勉強とかどうでもいいじゃないですか?

「じゃあ食堂でやろう」
「うん」

というわけで午後8時まで営業している学生食堂へ。僕たちが席についたのが6時ちょっと過ぎですから、2時間弱は勉強できるはずです。でまあ、すぐ勉強をしようかとも思ったのですが、お腹が空いたのでまずは食事をすることにしました。


彼女も僕も思い思いの料理を持ってきていただきますと言って食べるわけなんですが、なんか、ここでやたら緊張してきたのよ。え、お前はなんでそんなに心を乱しているんだ、と自問自答したいほどに緊張してきたのよ。あれ、これ、なんなんだろう?


そこでごはんを口に運びながらよく考えてみたのですが、彼女とはサークルではそこそこ親しかったものの、サークルの枠を離れてプライベートで、しかも二人だけになるというのははじめてだということに気づきました。ぎこちないはずだ。


そんな空気のなか、僕の心に語りかける何かがあった。そう、もしこの状況でくさい口説き文句を言ったらどうなるのか。以下、思考実験中の会話。

「ねぇ、塩田さん、神様っていると思う?」
「えっ、どうだろう? なんでいきなりそんなこときくの?」
「おれは絶対にいると思うんだよね」
「なんで?」
「だって、いま‥‥‥おれの‥‥‥前に、神様の使いが‥‥‥」

いや、どうがんばっても言えるはずがねぇ


ふつうの会話さえどぎまぎしている状態なのに、そんなことを言い放とうものなら世界が凍りつくことは必至。確実にすべてが終わる。彼女のなかの僕の存在が抹消されてしまうでしょう。口説き文句なんて問題外だ。


話が横道にそれましたが、しかし、そんな堅苦しい雰囲気も、何気ない会話を重ねる度にだんだんと和やかになってゆきます。サークルの話、留学してたときの話、天気の話‥‥‥。

「きのうは空がすごくきれいだったよね」
「うん、おれもきのうは雲の写真、ケータイで撮っちゃったよ」
「きょうも空、きれいだね。あっ、夕日‥‥‥」

食堂の窓の外には、木の葉のかげから、かすかにオレンジ色の太陽が輝いていました。


そのとき、ふと食堂の中に視線を写すと、そこにはサークルの他のメンバーの姿がちらほら。それをみて彼女が小声でこう言った。

「なんか、こっちに気づかれたら嫌だね」

きたこれ
なんか知らないけどグッとくるじゃないですか、この一言。なんか、いわゆるぬけがけってやつをしてるみたいでグッとくるじゃないですか。グッときたんですよ。僕はそれを聞いて平然と「え、そう?」とか言ってるんですけど、もはや平常心を失っているじゃないですか。失ってたんですよ。


幸い、彼らがこちらに気づくことなく食事を済ませ、本題の勉強にとりかかります。彼女はフランス語、僕は英語の勉強。まあ、はっきり言って僕はもう勉強とかどうでもよかったんですけどね。


それでも教科書を復習などをしつつ、分からないところを彼女の質問したりするわけです。彼女は高校時代に留学していた経験があり、英語に関してはプロフェッショナルな域に達しているので、正しい発音などをレクチャーしてもらうわけです。

「塩田さん、ここの文章、ちょっと読んでみて」
「声に出して読むの?」
「うん、塩田さんの発音聞いてみたいから」
「"Americans don't speak a single ‥‥‥‥‥‥"」
「やっぱ発音きれいだね」
「ありがとう」

まあ、「発音聞いてみたい」というあたりで、もう勉強の内容とは無関係で、興味本位であることが明白になっているわけですが、なんか、そんなやり取りが楽しいことこの上ない。ときどき雑談などしつつ、食堂のがやがやとした雑音を背景に時は過ぎてゆきます。


僕たちはL字型になって四人用のテーブルについて勉強していたんですが、客観的にあのときの僕と塩田さんをもう一人の僕が見ていたら、確実によからぬ感情を抱いていたと思う。呪詛の念とか送っていたと思う。


そんな楽しい時間も瞬く間に過ぎてゆき、午後8時。食堂には閉店の時を告げる音楽が。僕たちは勉強道具を片付けて、すっかり暗くなった外へ出てゆきました。冷房の聞いていた食堂のなかとは違って、湿った暖かい、夏の夜の空気がからだを包み込む。


夜のキャンパスは、茶色のレンガで統一された建物がライトアップされ、昼のにぎやかな明るいキャンパスとは趣きの異なる空間をつくりだしています。そこを塩田さんと正門に向かって歩いていったのですが、もし別の僕が、客観的にこの二人を見ていたとしたら確実に怨念とか送っていたと思う。アフリカの少数部族に伝わる強力な呪いをかけていたと思う。


正門を出て、もう人通りもまばらとなった駅までの長い坂道をくだってゆく。いつもは長くて長くて嫌になるこの坂も、この日だけは悪くないと思いました。いや、もっとずっとずっと続いていればいいのに。下宿が隣の駅にある塩田さんは駅へ、歩きで通っている僕は別の道へ分かれて帰宅しましたとさ。



とまあ、たんたんときのうのことを書いてみたわけですが、あれですね、これの話にはオチがないのかと思われたでしょう。しかし考えてみると、恋にオチた可能性も否定できないってことで。
posted by グレエ at 23:39 | Comment(6) | TrackBack(0) | edit


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この記事へのコメント
もしあそこで口説き文句言ってたら完全に退かれてたと思います。言わなくてよかったね♪
Posted by 光 at 2006年07月15日 00:04
な、なんてうらやまし…いや、不埒な!グレエさんだけは信じてたのに。くそぅ、呪ってやるー。全国のモテナイ皆、オラに邪念を分けてくれッ!!!
Posted by なも〜 at 2006年07月15日 00:05
きたこれ。
いや、きましたねとうとうチャンスが!!
恋に落ちましたか!?いいな〜甘酸っぱいですね♪
野口さんはもう出てこないかもしれないですね!
頑張れ!でんs・・グレエさん!!応援しとります!
Posted by 宗介 at 2006年07月15日 00:40
カテゴリに「恋愛」が出来たら、僕がなきます。(うれし涙じゃなくてくやし涙)
Posted by 我流おk at 2006年07月15日 13:53
いい話じゃないですか☆
次の勉強会で口説き文句までいかなくとも、キモチを伝えるとかできたらいいですね!
頑張ってください!
Posted by ジャスミン at 2006年07月15日 21:04
>光さん
もう、ちょっと想像しただけで肝が冷えましたよ。口説くなんてありえない。

>なも〜さん
いや、まあ、いっしょに勉強したってだけですけどね。でもゆくゆくは‥‥‥。

>宗介さん
野口さん‥‥‥って誰でしたっけ?
とまあ、それは冗談ですが、先日試験がおわったあと「お疲れ」という意味で野口さんに手をふってみたんですが会釈で返されました。予想通り☆

>おkさん
そういえば最近カテゴリの存在を意識してなかったなあ‥‥‥。安心してください、「恋愛」カテゴリは作りませんよ。

>ジャスミンさん
いや、まだまだそんな段階ではないですよ。もっとじっくりゆっくり‥‥‥って何を言っているんだ僕は。
Posted by グレエ at 2006年07月15日 21:17
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