2006年08月15日 Tue

ほんとうにあった怖い話【日記】

夏といえば、怖い話ですね。僕は幽霊だとか心霊現象だとか、そういった類のものはまったく信じない科学的な人間なのですが、今年の夏はひと味違いました。怖いものなんか何もないと思っていたのに、あったのですよ、怖い話が。以下に綴るのは、実家に帰省していたときに、実際に経験したことです。


実家に戻って2日後、僕はビデオを借りにいこうと思い立ちました。先日、まだアパートにいたとき、ビデオデッキがないのにビデオを借りてみれずに返す、という悲しいハプニングがあったのですが、実家にはビデオデッキがある。ということで最寄りのレンタルビデオショップに向かいました。ちなみに、最寄りのレンタルビデオショップまで自転車で1時間半ほどかかります。


炎天下のなか、ちっちゃい折りたたみ式の自転車で出発。これが、数々の恐怖体験のはじまりだなんて、このときの僕は思ってもみませんでした。


家を出発して3分ほどすると、近所の家の庭先に何やらふわふわとした白っぽい物体があることに気づきました。よく見てみると、昼寝をしている猫です。

「にゃんにゃー! にゃんにゃー! にゃんにゃー!!」

猫好きの僕としては素通りするわけにはいきません。さあ、僕のかわいい子猫ちゃん、喉をなでさせておくれ、ちょっとお兄さんに体を触らせておくれ。


ガン付け猫.jpg



ガンつけられた。さっそく一つ、恐怖体験をしてしまいました。いや、ありゃ怖いよ。下手したら指とか食いちぎられるよ。



気を取り直して、目的地をめざします。しかしさきほどの猫のもとを去ってからまた3分ほどのところで、何やら茶色い物体があることに気づきました。まあ、見た瞬間に牛だって分かったんですけどね。僕の地元は絵に描いたような田舎でして、いたるところに牛がいるのです。わーい牛だ牛だー、とウキウキして近づいてみました。


突進してくる牛.jpg


突進してこようとしている。視線は僕にロックオン、右前足はダッシュするための準備をしている。あの角で刺されたら確実に死ぬ。僕は必死でその場から逃走しました。



えっと、そろそろ目的を忘れてしまいそうですが、僕が向かっているのはあくまでレンタルビデオショップ。猫や牛にかまっている暇はない。歩道のない道を、汗を流しながら、車の排気ガスを吸い込みながら先を急ぎます。


自転車で行く.jpg



しっかし暑い。毎年毎年記録的な暑さとか言ってるけど、今年は特別に暑い気がする。なんでこんなに体が暑いのだろう。ま、1時間以上自転車こいでるからだろうけど。


目的地へ向かう途中、2つほど気になるものを見つけました。


赤い人.jpg


赤い人出たー! パンツ一丁で全身真っ赤な、等身大の人形です。誰が何のためにこれを制作し飾ってあるのか理解に苦しみます。


さて、次は道沿いで発見したスナック。


スナックあそこ.jpg


なんか卑猥だ。「あそこ行こうよ」といった場合の「あそこ」をそのまま店名にしたのは分かります。でも、僕の思考回路がエロいからかも知れないけど、やっぱね、ほら、あそこなんて言われたら、えっ、アソコ!? って思ってしまうではないですか。


もう少し年を取ったらスナックあそこに入ってみたい、と思いましたが、無情にもテナント募集中と書かれた紙が貼られていました。残念。



そんなこんなでようやく目的地であるレンタルビデオショップに到着。1時間半ものあいだ炎天下で自転車をこいでいた瀕死の僕にとってクーラーの効いた店内はオアシスそのもの。ゆっくりとビデオやDVDを選びます。


まず欠かせないのが『ふたりのロッテ』という作品。先日、ビデオデッキがないのに借りてしまったビデオです。この作品はやはりDVD版は置いていなくて、ビデオしかありませんでした。しかし、ビデオデッキならあるもんね、という余裕の表情でビデオをつかむ僕。不安の色をまったく浮かべず、クールにビデオを取る僕。かっこいい僕。近くに年頃の美しい女性がいたのですが、たぶん僕に惚れてたと思う。


「あっ」

同時にビデオに手を伸ばし、触れ合う手と手。僕と彼女は見ず知らずの他人だった。

「すいません。どうぞ」
「いえ、私はかまいませんから。どうぞ」

遠慮がちにいう彼女とは、なんだかはじめて会った気がしなかった。自分でもふしぎだけれど、この人とは何か運命のようなものを感じる。夏の暑さが、僕の心を狂わせたのかもしれない。

「あの、よかったら、いっしょに観ませんか? このビデオ」
「‥‥‥‥‥‥」

(やっぱ、そうだよな。いきなり見ず知らずの男にそんなこと言われたって、OKするはずないじゃないか。何言ってるんだおれ。ほんと、バカだよな‥‥‥)

「いいですよ。いっしょに観ましょ」
「えっ!」

意外だった。会ったばかりなのに、こんな申し出を受け入れてくれるなんて。でも、いま思うと、あのときの真琴は、僕と同じように、夏の暑さで心を狂わされていたのだろう。


真琴のアパートは、お店から歩いて10分のところにあった。介護士として老人ホームに勤めている彼女は、その8畳の部屋で一人暮らし。

「どうぞ、あがって。少しちらかってるけど」

女の子の部屋にひとりで来るなんて、生まれてはじめてだった。少し緊張。視線のやり場にさえ困ってしまう。

「じゃ、ビデオ、観ましょうか」
「うん」

小さな画面に映し出される『ふたりのロッテ』。おなじところで笑い、おなじところで感動し、映画がハッピーエンドを迎える頃には、僕たちの心はひとつになっていた。


「いい、映画だったね」
「うん」
「じゃ、おれはこれで」

立ち上がって、玄関へ向かう。映画は終わって、もうここにいる理由はなくなったんだ。僕はもう帰らなければならない。ドアノブに手をかける。

「待って」
「どうしたの?」
「いかないで欲しい‥‥‥」

窓から、夕陽が射し込んで、彼女の顔を紅く照らしている。僕は、ドアノブから手を離し、彼女の小さな肩を、両手でそっと抱く。僕を見つめる彼女の視線は、あまりにもまっすぐで、頭がくらくらする。そして、彼女の唇にキス! 熱いキス! ディープキス! なんてことはまったくありませんでした。



『ふたりのロッテ』と、他2本の作品を持って貸し出しカウンターへ。並んでいるうちにカードを出しておくというイギリス紳士顔負けの気遣いまでしてました。

「どうぞー」

女性の店員にそう言われ、ビデオとDVD、それにツタヤカードを差し出す僕。すると、何があったのか分からないけれど、店員の表情が明らかに曇る。

「‥‥‥‥‥‥が違います」
「えっ?」

店員が何か言っているのですが、声が小さすぎて聞き取れません。しかし、明らかに不機嫌な様子。

「カードが違います」
「えっ?」

もう一度言ってくれたので今度は聞き取れたのですが、それにしても事情が飲み込めない。僕のカードは京都でつくったものですが、ツタヤカードは全国で使用できるはずです。おかしい。何かがおかしい。

「カードが違います」

人間はここまで冷徹になれるものか? と驚いてしまうほどの冷たさで繰り返す店員。なんか、長年連れ添った妻にバレてないと思ってた浮気を指摘され、「別れてください」と言われた中年男性みたいな気持ちになった。怖い。疑問を通り越して、ただ怖いという感情に心を支配されたそのときだった。

「ここはファミリーブックですので」

その店、ツタヤじゃなかった


どうしたらこんなにボケられるのか自分でも疑問なんですが、ファミリーブックとツタヤをごっちゃにしていました。なんか、自分でも信じられないのだけれど、おなじ店舗だと思っていた。たまにブタゴリラとジャイアンを混同している人がいますけど、そんな感じになってた。ちょっと違うけど。


その後、「カードって、いまつくれるんですか?」「はい」「お金かかります?」「はい」「いくらですか?」「500円です」「あ、じゃあ、いいです」「はい」という絶対零度くらい冷たい対応をされました。


あと、帰るときにビデオの棚の方をみたら、真琴の隣に、真っ黒に日焼けした背の高い男がいて、いっしょにビデオを選んでました。女ってほんと怖い。
posted by グレエ at 20:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | edit


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