2006年08月15日 Tue

お盆【日記】

お帰りなさいませ、ご先祖様。


ということで、お盆です。メイド喫茶ならぬ冥土から、しばしのあいだご先祖様たちが現世に戻ってくるという非常にファンタジックなイベントです。僕もおととい、13日まで実家にいましたので、このイベントにちょっとだけ参加しました。


その日、リビングで狂ったようにニンテンドーDSのテトリスをやっていました。21の青年が実家でごろごろしてテトリスに熱中している光景はニートそのもの。なんだか悲壮感さえ漂い、お母さんごめんなさい、こんな僕を許して、と言いたくなってしまいそうなんですが、あまりのおもしろさにテトリスに熱中していました。

「ほら、グレエ。お盆様迎えに行くよ」

はて、お盆様? お盆様を迎えに行く?


僕はあまり仏教に興味がないので詳しくは分かりませんが、そういえば毎年この時期になるとお墓参りにいっていた気がする。どうせ暇ですし、せめて家の行事ぐらいは参加してニートとの違いを見せつけてやろうと思い、祖母と母とともにお墓へ向かいました。


お墓では祖母が墓をきれいに掃除し、母がお花をさし、僕がその光景をぼーっと見ていました。

「グレエ、お線香あげて」

やった、僕にも手伝えることがあるんだ! と、歓喜のあまりお線香を7本ぐらいあげました。よし、仕事した。これでもうニートじゃない!

「グレエ、そっちのゲンさんのとこにもやっといて」

OK、グランマ。引き続き働き者の僕はゲンさんのお墓にもお線香をあげときました。そのゲンさんという人がいったいうちの家族とどういう関係なのか皆目分からないのですが、とりあえずゲンさんにもあげておきました。お帰りなさいゲンさん。


一通りお墓参りが済んで家に戻ろうかというとき、母がお墓の近くで何やら新聞紙と何かの木にライターで火をつけはじめました。そして、燃える新聞紙と木からモクモクと煙が。どうやらこの煙を目印に、ご先祖様たちは現世に戻ってくるようです。ま、カーナビみたいなものですね。


自宅の前まで来ると、またしても母が新聞紙と何かの木に火をつけました。どうやらこの煙を目印に、ご先祖様たちは現世に戻ってくるようです。ま、EZナビウォークみたいなものですね。


ふぅ、これでようやくご先祖様たちは道に迷うこともなく家に戻って来れるはずです。小さい頃いっしょに遊んでくれたひいおじいちゃんやおじいちゃん、あと、僕が生まれる前に亡くなったひいおばあちゃんやずっと昔のご先祖様たちも来てくれるはず。あんまりいっぱい来ると家に入りきらないんじゃないかな、大丈夫かな? なんて思いながら、やおらニンテンドーDSのスイッチを入れようとしたときでした。

「グレエ。ちょっとお寺さんいってきて」

祖母がそういい、封筒と風呂敷に包んだお金を手渡してきました。あれ、さっきの儀式でご先祖様たちは帰ってくるはずなのに、なぜまたお寺なんぞに? と疑問に思うのですが、まあ宗教的なアレだろうと思い、ニートではない働き者の僕は素直に引き受けました。


お寺にゆく途中、玄関先にキュウリやらナスに割り箸を4本さして動物みたいにしたものが置いてある家がありましたが、それもご先祖様を迎えるための宗教的なアレなのでしょう。あとで父に聞いたところによると、ご先祖様がそれに乗って帰ってくるらしいです。煙で誘導するだけより待遇がよいですね。ま、タクシーみたいなものなのでしょう。


お寺に着くと、門が開いていて中に入れるようになっていましたので、とりあえず中に入ります。するとお寺のおばさんが「ご苦労さま」と言って迎えてくれました。

「ごめんなさいね。いまお昼を食べに行ってるから、少し待っててくれる?」

どうやらお坊さんは食事中らしい。おばさんがお茶を出してくれたので、ありがたくいただいて待つことにしました。


それにしても、お寺ってのはおもしろい。これまでも何度か来たことはあるのだけれど、改めて見回してみると興味深いものばかりです。


僕が入った部屋の中央正面には荘厳な華の飾りがありましてね、いかにも仏教ですという空気を醸し出しています。その前にはお坊さんが座るためのちょっと豪華な座布団が置かれ、右前には巨大な木魚、左前には巨大なチーンって鳴る仏壇によくあるアレがありました。なんかもう、これでもかってくらいに仏教チック。キリスト教主義の大学に通ってるなんてことがバレたら殺されちゃうんじゃないかと心配になりながらお坊さんを待っていました。


5分か10分ほど待つとお待ちかね、お坊さんの登場。

「すいません。お待たせしちゃて」

と、やけに腰が低い感じで登場。


実は数年前までは、このお坊さんのお父さんがまだ現役で活躍していたのですが、現在は完全に世代交代を行われていたようで、息子の方が出てきました。息子といってももう50代の人なんですが、その人が出てきました。


僕が待っているあいだ、知らないおばあさんも来ていたのですが、まずそちらへ向かうお坊さん。おばあさんは風呂敷に包んであったお金と重箱みたいなものをお坊さんに差し出しています。なるほど、持ってきたお金はこのお坊さんに手渡せばいいわけだな、と納得し、次にこちらに来たお坊さんにお金を手渡しました。


さあ、これで帰れるのかと思いきや、そのお婆さんがやおら立ち上がりまして、なにやらお焼香というのをやっていました。なるほど、次はお焼香をすればいいんだな、と納得し、お婆さんが戻ってから僕もお焼香をしました。ここで何をするかはもう、このおばあさん一人にかかっている。


さあ、今度こそ帰れるのかと思いきや、そのお婆さんが動かないのですよ。ご先祖様を迎えにきたのに、逆にあっちに行っちゃったんじゃないかってくらい動かないのですよ。このときの僕にとってはこのおばあさんが世界のすべて。僕の、世界の中心は、君だ、ってくらいにそのおばあさんが頼りですから、僕も動けない。すると、

「イーヤーラキハーマーヤージーランダーエーターカッテタダーロー‥‥‥」

ってな感じでお坊さんがお経を読みはじめました。いったいどういった意味でお盆にお経を読むのか知りませんが、エミネム顔負けの饒舌さでリリックをライムして木魚を叩くお坊さんはかなりクールでした。ときどきチーンって鳴らすときなんて、ほんと、自分が女ならそのお坊さんを放っとかなかったと思う、お坊さんハゲだけど。


で、本来ならそのままお経を聞き終えて帰ればそれでめでたしめでたしとなるはずだったのですが、お経の途中、僕はあまりの驚きに自分の目を疑いました。


いや、白装束をまとったじいさんが現れたのですよ。


真っ白な浴衣のような服をまとったじいさん、僕が小学生のころからじいさんだったじいさんが音もなく入ってきたの。このじいさん、先ほど書いた引退したお坊さんなのですが、もしかしたらもう亡くなったのかと思っていたから死ぬほどびっくりしました。お盆だからあの世から帰ってきたのかな、と思ったのですが、お寺のおばさんやお坊さんはびっくりした様子もありませんし、よく見たらちゃんと足がついていました。


それからの1日、ご先祖様を家に迎えたはずなのにご先祖様の気配はまるで感じなかったのですが、それでもしばらく見かけなかったよぼよぼのじいさんに、しかも「たった今棺桶から出てきました!」みたいな格好をしたじいさんに出会えただけで、お盆を十分満喫できたと思います。
posted by グレエ at 23:57 | Comment(2) | TrackBack(0) | edit


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この記事へのコメント
初めまして。
お盆ですか・・・。僕のお盆は祖母の奏でる木魚のメロディを聞いているうちに過ぎ去ってゆきました。
Posted by フルゥ at 2006年08月16日 00:52
祖母が木魚を叩くのですか? そいつぁあクールなグランマですね。

さきほどフルゥさんのブログを覗かせてもらいましたが、非常におもしろかったです。次郎さんもがんばって!
Posted by グレエ at 2006年08月16日 02:18
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