2006年10月24日 Tue

少子化の原因【ネタ】

大学帰りの電車のなか、ランドセルを背負った小学生たちが六人ほどいて、無邪気にはしゃいでいた。彼らのうち三人は席に座り、他の三人はつり革にぶら下がるように掴まってキャッキャキャッキャ。大人や学生が黙って本を読んだり疲れた顔で眠っているなかで、その子どもたちのあたりだけ照明が当たってるかのように明るかった。子どもは、元気だ。

しかし、この頃日本では少子化が進み、こういう心和む光景を見ることも少なくなった。子どもの数はどんどん少なくなっているのだ。これについて、一般的には日本経済の不況だとか晩婚、非婚が原因だとか言われている。けれど、もっと根本的な原因が見落とされてはいないだろうか?それは子どもがどこからやってくるかを考えればすぐに思いつくはず‥‥‥。

そう、コウノトリの個体数の減少である。

以前は数えきれないほどの従業員を抱えていたコウノトリヤマトだが、現在の日本支部はたった七匹のコウノトリによって切り盛りされている。しかもその内の四匹は学生バイトで試験期間になるとシフトが極端に減るという惨憺たる有様。昔は一度の配達で一人の赤ん坊を運送していたのに、今では一度に四五人を運ぶという荒技をやってのけている。

「次は北海道の山田さんと横田さんと中川さんのとこッスね」
「うん。それと青森の柳さんと大井さんのとこもいっしょにいってくれる?」
「えー!店長、それはキツいっすよー。北海道の三人はみんな3500グラムオーバーなんすよー?」
「そこをなんとかがんばってよ。来月から時給20円アップ!ねっ?ねっ?」
「しょうがないッスねー」

そうしてバイトのコウノトリのアゴはがくがく、羽はくたくた。吉野家のバイトも上回るほどの忙しさである。それでも以前の水準の運送は行えず少子化は進むばかり。さすがにこの状況はなんとかせねばと奮起した日本支部長の鳥居さんは世界中のコウノトリが集まる役員会議で次のような提案をした。

「現在、我が日本支部では慢性的な労働力不足に悩まされております」

カリブ海の小国、トリニダードトバゴ。子ども運送会社であるコウノトリヤマトの本部はそこにあった。各国の代表と本部の役員らが顔を揃えるなかで鳥居の訴えが会議室に響く。

「つきましては、コウノトリ以外の鳥類への募集も視野に入れることを許可願います」

ざわつくコウノトリたち。

アメリカ代表「ミスター鳥居、つまりこういうことですか?他の鳥たちにも我々の仕事をやってもらう、と」
鳥居「ええ、その通りです」
アメリカ代表「しかしこの仕事は古来から我々コウノトリに任された名誉ある仕事。他の鳥に助けを求めることはその誇りを捨てることになります。それに、この仕事をやれる鳥が他にいるでしょうか?」
フランス代表「いっそペンギンに手伝ってもらったらいいんじゃないかな?」

わっはっは。会議室が皮肉な笑いで包まれる。

ドイツ代表「まじめな会議で冗談は慎んでもらいたいですね」
フランス代表「はあ。これだから頭の固い奴は‥‥‥」

隣同士に座るドイツ代表とフランス代表のやり取りで場の空気が凍りつく。この二匹はもう数百年来仲違いしており会議のたびに衝突が絶えない。そもそもこの二匹の確執は十二世紀の初頭に一匹のメスをめぐって起こったごたごたが原因なのだけれどその話は長くなるので省略。

鳥居「とにかく、我々日本代表としましてはペリカンなどの大型の鳥類を中心に募集を呼びかけ、また小型の鳥でも数匹で一人の赤ん坊を輸送する方法を考案しカラスなどにも募集をするという形を考えています。社長、どうか許可を!」

上座の中心に腰掛け議論を見守っていた社長にみなの視線が集まる。静寂と緊張が部屋をつつみこむ。

鳥居「社長!」
社長「‥‥‥ペンギンって、空飛べたっけ?」

コウノトリたち、一斉にずっこける。


提案が聞き入れられなかったことでがっくりと肩を落とし深夜に帰宅する鳥居。ネクタイを緩めながら、ついつい妻にグチをこぼしてしまう。

鳥居「はあ。今日の会議もちゃかされて最後は社長の天然ボケ。やってられないよ」
妻「‥‥‥ねえ、あなた」
鳥居「どうしたんだ?」
妻「赤ちゃん、欲しくないの?」
鳥居「何言ってるんだ。おれたちだけでも生活苦しいのに、この上子どもを育てるなんて無理だよ。不景気でただでさえ減俸が続いてるんだ」
妻「そうね‥‥‥」

このように、また一つの夫婦が子どもを持つ余裕もなく日々の生活に追われ、コウノトリ社会の少子化は進んでゆくのである。

え、コウノトリの赤ちゃんはどうやってできるんだって?いや、そりゃオスとメスが交尾して生むんでしょ。
posted by グレエ at 20:16 | Comment(3) | TrackBack(0) | edit


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この記事へのコメント
 感心。切り口が斬新でオチも綺麗です。
Posted by kevin at 2006年10月25日 09:00
むむぅ…、少子化はコウノトリの個体数の低下が原因だったとは。
地上波でコウノトリの生殖行動を毎日夜11時くらいに一時間流して見るというのは?コウノトリ達はこれをみてムラムラしてもらいましょう。
当然モザイクも入りませんしね。
Posted by なも〜 at 2006年10月25日 23:35
>kevinさん
ありがとうございます。そんなに誉められると照れます。

>なも〜さん
なるほど!それ採用!こんど知り合いのコウノトリに提案してみます。
Posted by グレエ at 2006年10月26日 01:14
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